Sound Sketch #42 "Flying Bird In The Dark" 制作メモ  話し言葉と歌の境界線はどこにあるのだろう。  言葉が歌になるのは、どの瞬間なのか。  言葉をメロディに乗せれば、あきらかにそれは歌だと人は感じる。では、そのメロ ディの定義は?  メロディではなく、ラップのようなリズムに乗っている言葉も、人は歌だと感じる のではないか。では、メロディは歌の必須条件ではない?  2006年12月、それまで何度かライブで朗読/演奏したことがあるサウンドスケッチ の作品群を、いくつかまとめて、サウンドスケッチ作品だけで構成したライブ公演を おこなった。公演のためにいくつかの作品を書きおろしたのだが、そのなかのひとつ がこの「Flying Bird In The Dark」だ。  公演は2回おこなわれ、ともに朗読は窪田涼子が担当したが、歌はこの伊藤さやか と、もうひとり、エコツミの小橋寛子。  ストーリーというより、まさにスケッチともいうべき女性の心象風景が語られる。 結婚して、なに不自由ない生活の女性。平和な毎日。が、檻に閉じこめられたような 気持ち。なにをしてもなにかに縛られているように感じる。自由なはずなのに、自分 のしたいことがなにもできない。  彼女は想像する。自分が拒否することを。してはならないことをしてしまうことを。 夫を拒絶することを。ありえない自分の行動を。せめてイマジネーションだけは自由 にはばたかせられる?  歌はつぶやきのような言葉から始まる。  バックでは、ピアノの分数コードが、不快感ギリギリの響きで続く。時々聴こえる メロディらしき旋律。  言葉やがて明白に歌へと変化する。主人公の想像が、心の片隅のもやもやから、く っきりしたイメージへと羽ばたいていくように。 (みずき・ゆう)